
東北や九州に比べると少ないものの、関西にも個性的な名湯があります。
大阪や京都、神戸など、関西の中心市街地からは離れているけれど、泉質・雰囲気・湯の個性が際立つ名湯をピックアップしました。
目次
上湯温泉 湯守のおじちゃんの情熱のつまった上湯川の極上湯 (奈良・十津川)

十津川温泉郷で最も山深いエリアにある上湯温泉。
開湯は古く、熊野詣の行者が湯治した記録も残るそうです。
渓谷の岩間から湧き出す源泉をそのまま湯船に引き込んだ自然の中の温泉で、開放的なつくりの男性湯は天井や囲いもなく、横には上湯川が流れています。
大きな白い湯花がぷかぷか浮かぶ湯は、含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩泉。源泉は約50度とやや熱め。
肌を包むような柔らかい湯で、湯上がりはしっとりします。
目の前には山と川だけ。川のせせらぎを聴きながらのんびり入る唯一無二の温泉。
一方で山奥の川の温泉というのは、大雨や台風の影響も受けやすい。悪天の後は湯舟に溜まった泥や木の枝、葉っぱを掃除するのに一苦労するそう。湯守のおじちゃん達の愛情と情熱で、快適な温泉が維持されているのですね。
「いいお湯でした!」とお伝えすると、うれしそうに頷いていたおじちゃんの笑顔が忘れられません。
アクセスはなかなかに大変ですが、ぜひ訪れたい温泉の一つです。

INFORMATION
- 公式HP:http://totsukawa.info/joho/totsukawa_onsen_gou/3kamiyu_onsen.html
- アクセス:十津川温泉バスセンターより車で約15分
マイカーがおすすめ。 - 営業時間:9:00 - 17:00
- 料金:500円 (大人)
- 泉質:ナトリウム炭酸水素塩泉
- 山との組み合わせ:熊野古道小辺路 果無峠
- 宿泊記録:[十津川、上湯温泉] 大きな湯花がぷかぷか浮かぶ秘湯
つぼ湯 一日に七色に変化する世界遺産の湯 (和歌山・湯の峰)

開湯1800年の湯の峰は、日本最古の温泉地。熊野詣の前に身を清める湯垢離場(ゆごりば)として、古くから利用されてきました。
宿が集まった小さな集落で、歓楽街や飲食店もなく、おどろくほど静か。関西ではめずらしい鄙びた雰囲気を残す温泉地です。
そして、そんな湯の峰にある、世界で唯一入浴できる世界遺産のつぼ湯。
一日に七色に変化すると言われており、この日は乳白でした。
含硫黄-Na-炭酸水素塩泉の源泉かけ流しの湯は、体をふわりと包む柔らかい湯ざわり。じんわりと体があたたまります。長湯できるやさしいお湯で、鮮度は文句なし。
洗い場はなく、石鹸・シャンプーの使用は禁止。また、GWなど繁忙期は順番を待っている方もいるので、その点は心構えしておいた方がよいかと思います。


INFORMATION
- 公式HP:https://www.hongu.jp/
- アクセス:湯の峰温泉バス停から徒歩約1分
- 営業時間:午前6時~午後9時 30分交替制
- 料金:800円 (大人)
- 泉質:含硫黄-Na-炭酸水素塩泉
- 山との組み合わせ:熊野古道 中辺路
- 宿泊記録:[熊野古道、湯の峰温泉]熊野本宮大社、大斎原で参拝し、湯の峰で温泉三昧
有馬温泉上大坊 鉄分豊富。有馬では少ない源泉かけ流しの温泉 (兵庫・有馬)

兵庫県の温泉で最初に名前が挙がるとすれば、有馬温泉で間違いないでしょう。
日本書記や枕草子にも登場する日本最古級の温泉。奈良時代に行基が温泉寺を建立し、有馬の基礎を築いたと言われています。
日本を代表する温泉地で、1400年以上の歴史と、火山がないのに最大98℃の高温湧出という世界的にも珍しい温泉。
「金泉(含鉄・塩化物強塩泉)」と「銀泉(炭酸泉・ラジウム泉)」という二つの泉質があります。
そんな有馬温泉ですが、湯量が豊富でないうえ、金泉の成分が濃く、熱すぎるために、源泉かけ流しの施設は少ないのが実情。
上大坊は、天神源泉からの金泉を源泉かけ流しで提供している数少ない宿。
二人ほどが入れる小さな浴槽に源泉が注がれているので、お湯が新鮮!
鉄分を多く含み、少ししょっぱい。期待通り、濃い温泉で体を温めることができました。浴室の天井は2階分の高さがあるので、圧迫感もなく、くつろげます。
一人〜二人でゆっくり温泉を楽しめるように、日帰り入浴は平日限定にされているように感じています。

INFORMATION
- 公式HP:http://www.kamiobo.com/
- アクセス:有馬温泉駅から徒歩10分
- 営業時間:15:00-18:00
休前日・休日・休館日・年末年始・GWは立ち寄り入浴なし - 料金:1,000円
- 泉質:含鉄・ナトリウム・塩化物強塩高温泉
- 山との組み合わせ:六甲山
- 山行記録:[六甲山、上大坊] 保久良神社で初詣。下山後は源泉かけ流しの有馬の湯に癒される
椿温泉しらさぎ 関西ではめずらしいpH9.9のアルカリ泉はとろとろの美肌湯 (和歌山・椿)


椿温泉の起源は、白鷺が湧き出でる温泉で足の傷を癒したという伝承に遡ります。
この噂を聞いた普門寺の湛海和尚が湧出地に湯舟をつくり、鷺の湯(さぎのゆ)と名づけがのが始まりとされています。
江戸時代には「名湯」として、「紀伊続風土記」にも登場した椿温泉。
pH9.9の強アルカリ性で、とろみのある湯ざわり。
単純硫黄温泉ですが、硫黄の匂いは控えめ。ヌルヌル感が強く、肌の角質をやさしく落とし、湯上りはしっとりします。
源泉温度は約31~32度と低く、低温のため加温して利用されています。
温泉で一緒になった女性は、「この辺りで一番よい泉質でお気に入り」とおっしゃっていました。
まわりには観光地もなく、海と山に囲まれた静かな土地なので、のんびりとからだを整えるのに向いています。

INFORMATION
- 公式HP:https://www.tsubaki-shirasagi.jp/
- アクセス:JR椿駅から徒歩30分
駅からの徒歩はあまりお勧めしません。建物が少なく、距離もそれなりにあります。宿泊する場合は送迎を依頼するのも一つ。 - 営業時間:午前11時~午後8時(満室時は午後2時まで)
- 料金:600円 (大人)
- 泉質:単純硫黄泉
- 宿泊記録:[ひき岩群、椿温泉、白浜温泉] 和歌山の名湯巡りとひき岩群の絶景をたのしむ
白浜温泉崎の湯 目の前に太平洋が広がる千年の湯 (和歌山・白浜)

白浜温泉は、道後・有馬と並ぶ日本三古湯のひとつ。『日本書紀』や『万葉集』にも記される「湯崎七湯(ゆざきななゆ)」の中で、いまも姿を残す唯一の湯が崎の湯です。斉明天皇や持統天皇が浸かった記録もあり、千年以上の時を越えて湯煙を上げ続けている。
そんな崎の湯の魅力は、なんといっても太平洋と向き合う圧倒的な開放感。 岩場に寄せる波の音、潮の香り、肌を撫でる海風。目を閉じれば、海と湯の境界がふっと消えていくような感覚に包まれます。
泉質はナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉。舐めるとほのかに塩味を感じる「温まりの湯」で、湯上がりは体の芯までぽかぽかと温かさが続きました。
リゾートやアドベンチャーワールドの印象が強い白浜ですが、実は温泉文化も深い土地。
「走り湯」「まぶ湯」「草原の湯」など、地名やバス停にも“湯”の名が残り、立ち寄り湯も豊富。湧出量が多いことから、かけ流しの湯を楽しめる施設が多いのも魅力です。

INFORMATION
- 公式HP:https://www.town.shirahama.wakayama.jp/index.html
- アクセス:JRきのくに線白浜駅から明光バス新湯崎行きで約15分、湯崎下車、徒歩約5分
- 営業時間:8時〜18時(4月1日〜6月30日,9月1日〜9月30日)7時〜19時(7月1日〜8月31日)8時〜17時(10月1日〜3月31日)
- 料金:500円 (大人)
- 泉質:ナトリウム塩化物泉
- その他:観光地にあるため、土日祝日は混みます。ゆっくり楽しみたい場合は平日がおすすめ。