6月 山と温泉 東北

[安達太良山、岳温泉] 月面のような荒涼とした世界と強酸性の湯

磐梯山とならび、福島を代表する百名山の安達太良山。周囲には、岳温泉、沼尻温泉、土湯温泉、野地温泉、横向温泉…と名湯が多くあります。花の百名山でもある安達太良山。花が最も多い6月中旬〜下旬に行ってみたくて今回の旅を計画しました。宿泊先はロープウェイに近い岳温泉。天候がいまひとつでもロープウェイでサクっと登山&湯めぐりが楽しめる立地です。絶好の登山日和とはならなかったものの、荒涼とした安達太良山と上質な酸性泉の温泉を堪能し、充実の休日となりました。

  • 日:2024/06/29(土) - 6/30(日)
  • 旅程
    • 大阪(伊丹) - 福島空港 - 安達太良山登山 - 岳温泉mt.inn
    • 岳温泉の湯めぐり - 福島空港 - 大阪(伊丹)

安達太良山

今回チョイスしたのは、奥岳登山口からロープウェイで山の中腹まで行き、山頂〜火山口に行くルート。約3〜4時間ほどのコースですが、お花を見たり,福島周辺を眺めたり,荒涼とした火山口〜稜線を見たりと存分に楽しむことができました。ロープウェイから山頂までは1時間程のため、登山初心者の方も比較的チャレンジしやすいです。

  • コース:山頂駅 - 安達太良山 - 矢筈森 - 安達太良山 - 薬師岳 - 山頂駅
  • 標準コースタイム:約3時間半
  • 難易度:低
    • 道は整備されており、道標もあります。
    • 火山帯で、コースにより登山禁止区域があります。事前に確認するようにしましょう。
    • 山頂の乳首から鉄山までの牛の背〜馬の背は暴風ゾーンです。強風時や濃霧時は歩かない方がいいです。
  • 温泉:奥岳の湯 営業時間10:00-19:00、大人700円
  • アクセス
    • [乗合タクシー] 福島空港 - 岳温泉 約1時間 3,300円
      とてもお得な福島空港乗合タクシー。乗合タクシーについてまとめたこちらのブログもご覧ください!
    • [タクシー] 岳温泉 - あだたらロープウェイ乗り場 約10分 2,290円
    • [ロープウェイ] 奥岳登山口 - 山頂駅 5〜10分 片道1,200円
      • あだたら山ロープウェイ 営業時間8:30-16:30
      • 岳温泉に泊まる方向けの優待割引券やあだたら山ロープウェイHP限定の優待割引券、タクシー&ロープウェイ往復セットあり。利用する場合は、HP要チェックです。

安達太良山へのアクセス
二本松 - 奥岳までの路線バスは、平日限定で一日に2本。そのため、公共交通期間で土日に行く場合はタクシーになります。管轄の昭和タクシーに事前予約するのがベター。

東京からのアクセスの場合
[電車] 新宿 - 二本松 約2時間半 7,000円~8,000円ほど ※東北新幹線利用
[バス] 二本松 - 岳温泉 25分 500円
[タクシー] 岳温泉 - あだたらロープウェイ乗り場 約10分 2,000円~2,500円ほど

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梅雨前線が西日本に停滞していたこの日、関西はじっとり蒸し暑かったです。梅雨時期の旅。どちらか一日でも天候が持ちそうな日に山を登る計画でした。
福島はカラリと晴れている!!登山するなら今日です。乗合タクシーで福島空港から岳温泉まで移動。乗客はわたし一人です。岳温泉から登山口まで通常料金で支払うので、そのまま乗合タクシーで登山口まで行けないかと運転手さんに聞いたところ、管轄外でできないとのこと。
宿の女将さんに事情を説明したところ、気持ちよく登山に不要な荷物の預かりとタクシーの手配をしてくださいました。ありがとうございます。二本松市内から岳温泉まで上がってくるため、タクシー待ちは20〜30分程度。昔は岳温泉にあったタクシー待合所も利用客が減って、今はないそうです。
岳温泉から奥岳登山口まで徒歩で約1時間半ほど。歩けない距離ではありませんが、勾配もそれなりにあり、面白みもないので、車がない方はタクシー利用をお勧めします。歩く方もなかにはいるようで、この日も一人お見かけしました。
下山もタクシーになるので、降車時に時間を指定してタクシーを予約しました。予約料金や迎車料金はかからないとのこと。ロープウェイ乗り場にはトイレとロッカーがありました。さて、ロープウェイに乗って一気に高度を上げます。百名山ですが全く混んでおらず、スムーズに乗車できました。
二本松市内は青空が広がっていて、気持ちいい!
始発の飛行機で福島に来て、登山開始が11時。登山スタートとしては遅いので、やや速めのペースで歩きます。
ロープウェイを降りるとはじめは木道の道が続きます。薬師岳パノラマパークはこの分岐点から1分ほど。安達太良山が一望できるビューポイントです。帰りに立ち寄ることにし、先に山頂を目指しました。
この時期の安達太良山はお花の時期。ハクサンシャクナゲやイワカガミが咲いていました。これはウラジロヨウラク。一面にお花畑が広がるというよりも、道々にポツポツと咲いていて、疲れを癒してくれます。
徐々に傾斜が出てきました。残念ながら山頂方面は厚い雲で覆われている。。。
振り返ると晴天の二本松市内が広がっています。山頂方面も晴れてほしいなあ。
百名山のため、それなりに登山客はいますが、混んではいません。頂上以外は静かな山歩きが楽しめました。
頂上が近づいてくると、岩がゴロゴロ。ペンキでマークされた岩やケルンが立っています。
ぽこっと出っ張っているのが、乳首(ちちくび)。山頂です!
乳首手前が広いスペースになっており、ここで休む人、食事をとる人、景色を眺める人…さまざまでした。
一休みしてから頂上に向かいます。火星みたいな雰囲気の乳首。一方通行になっていて、この岩を回って進みます。
岩を掴んで登る箇所はあるものの、難しくありません。
山頂!稜線が見渡せて気持ちいい〜!!
乳首からは、牛の背〜矢筈森方面に歩きます。牛の背・馬の背は爆風地帯。風が強いときは歩かない方がいいですね。
どんよりした雲がかかっていますが、やっぱり稜線歩きは楽しい&気持ちいい!!
牛の背から沼ノ平の火口を見渡します。荒涼としていて、一見の価値があります。うっすらと硫黄の匂い…。沼ノ平に噴気口があり有毒ガスが出ているため、立入禁止域があります。
当初は鉄山避難小屋あたりまで行く予定でしたが、天気はイマイチ。矢筈森までいき、そこから引き返すことにしました。秋にでもこの稜線をずっと進んで、鬼面山〜野地温泉と歩いてみたいです。
見えているピークが鉄山。矢筈森付近から撮影。
牛の背〜峰の辻〜くろがね小屋を歩く方が多くいました。2024年現在は再建中のくろがね小屋。冬の時期に宿泊したことがあるのですが、温泉がよく、体が温まったことを覚えています。時間があれば、こちらのルートで下山したかったです。
さて、来た道を引き返してロープウェイ乗り場へ。安達太良山が一望できる薬師岳にも立ち寄りましたよ。
この日の写真は映えませんが、山頂や稜線が見渡せます。紅葉の時期はきっと美しいだろうなあ。
下山後はロープウェイ乗り場近くにある奥岳の湯へ。とても綺麗で、展望のよい温泉でした。柵や目隠しがないため、目の前に山並みが広がっている露天風呂、源泉かけ流しの内湯。
ph2.5の強酸性の単純酸性温泉。岳温泉やくろがね小屋の温泉に比べると鮮度は落ちる印象です。
温泉を出るとタクシーを予約していた15時。こちらの乗り場でタクシーに乗り、岳温泉に戻りました。

安達太良山の登山ルート
様々な登山ルートのある安達太良山。あだたらの魅力を堪能できるくろがね小屋経由のルートや、静かで岩登りを楽しむこともできる沼尻温泉側、鬼面山を抜けて野地温泉側に向かうルート。季節やルートを変えて、再訪したいと思いました。

岳温泉 mt.inn(マウントイン)

岳温泉は単純酸性温泉。安達太良山1,500m付近の源泉から山肌を伝う湯桶(ゆどい)を通り、約40分かけて湯を引いているそう。通常は源泉が近くにある方が鮮度が高くて良いとされますが、岳温泉の場合は有毒ガスが抜け、自然に湯もみされて肌に優しい湯になるそう。今回宿泊したmt.innは創意工夫が随所に感じられ、居心地のよいお宿でした。土曜日でも1人泊可能ですが、それ以外の曜日の方がよりリーズナブルでおすすめです。

  • mt.inn (マウント イン)
    • 素泊まり:5,000円〜、2食つき:9,500円〜 (税込、一人泊の場合)。土日でも一人泊可/不可
    • 利用したプラン:早割14×魚料理 エコノミー和室8畳 13,500円
    • 温泉:単純酸性温泉。100%源泉かけ流し(加水、加温なし)、24時間入浴可
    • 食事:利用時間を選択 夕食(18:00・18:30・19:00)、朝食(6:30・7:00・7:30・8:00)、食堂食
    • その他
      • Wifi完備でBar&Cafeとしての利用もできるロビーや自炊&くつろぎスペースなどもあり
      • 浴衣だけでなく、館内着あり

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オシャレでカジュアルなロビー。Wifi完備のBar&Cafeとして利用できるのも一人旅の身にはありがたいです。チェックイン時に館内の説明を聞いたら、「あとはセルフでゆっくりお過ごしください。」というスタイル。
今回宿泊したお部屋。エコノミープランですが、8畳+窓際のくつろぎスペースがあって、ゆったりした造りでした。風が心地よく、この窓際のチェアでゆっくり過ごしました。
浴衣の他に館内着があります。寝ている間にはだけてしまう浴衣は、普段着用しません。この館内着はうれしい!お客さまの半数以上が館内着派のようでした。
自炊スペース。綺麗に片付けられたキッチンと食事をとるスペースがあります。このソファに座って、雑誌や本を読むのもいいですね。
そしてお楽しみの温泉。ぬる湯(41-42℃)と熱めの湯(44-45℃)の2つの湯があります。こちらは熱めの湯。ph2.5の酸性泉。殺菌力が高く、慢性皮膚炎やアトピーなどに効果があると言われています。
お肌の角質を溶かすことから美容効果が高く、お肌はツルツルに。白い湯花があり、やや酸っぱいです。人気の宿なうえ、日帰り入浴も7:00-21:00まで受け付けているため、独泉できる間がなかったのが残念…
海外の方にも多くいただきたいと、食事は洋食で提供されています。宿泊予約時に肉か魚かを選択。わたしは魚料理を選びました。この日のメニューは、前菜3種類盛り合わせ、福島県産野菜のサラダ、シーフードのパングラタン、白身魚のローストと海老と帆立のソテー、デザート。
朝食はバイキング。夕食・朝食ともに食堂でいただきます。中高年のご夫婦、家族連れ、一人客と客層は様々。登山+温泉目的のお客様もちらほら。宿の規模がそこまで大きくないため、個人的には一人での食事もそれほど気になりませんでした。

岳温泉 湯めぐり

天気がイマイチな翌日は岳温泉でゆっくりすることに。湯めぐりを楽しみました。岳の湯、扇や、陽日の郷(ゆいひのさと)あづま館…などいくつか候補がありましたが、体にズシンとくる岳温泉。しっかり休憩することを考え、眺めがいいという光雲閣と湯船が素敵な扇やに行くことにしました。個人的には接客と館内の雰囲気がいい扇やがお気に入りです。

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岳温泉の中心ともなるヒマラヤ大通り。この先に岳温泉神社があり、さらに北上すると安達太良山の奥岳登山口につながっています。大きな温泉街ではないものの、お土産屋さん、飲食店、コンビニ、ホテル・旅館があります。
ヒマラヤ大通りから桜坂を下って鏡ヶ池へ。この桜坂は約300本のソメイヨシノが植えられているそう。桜の時期は見応えがありそうですね。この時期は紫陽花がきれいでした。
鏡ヶ池公園。「ミルキーデイ」という湯花流しの日にはこの池がエメラルドグリーン色に変わるらしいですよ。安達太良山の稜線が見渡せるちょっとしたくつろぎスポットでした。
そして、ながめの館光雲閣へ。ヒマラヤ通りの坂を10分ほど登ると辿りつきますがなかなかの急坂。湿度があり、やや蒸し暑いこの日には少々堪えます。みなさん、車で来られるようですね。(あたり前か…。)
「食事+入浴」セット2,000円を利用。入浴後に合鴨蕎麦をいただき、「眺寿庵」という休憩スペースでくつろぎました。温泉は、内湯(あつ湯、ぬる湯)と露天があり、泉質・鮮度はマウントインとあまり変わりのない印象。上質のお湯です。11時開店時に続々とお客さまが入って来ましたが、そこまで混み合うことはなかったです。(出典:光雲閣公式HP)
「ながめの館」というだけあり、展望のよい光雲閣。麗山(羽山)など福島の山々が見渡せます。宿泊時にはご来光が温泉に入りながら楽しめるそう。6月のこの時期は外気で少し湯温が下がる露天風呂が気持ちよかったです。(出典:光雲閣公式HP)
マウントインの隣にある陽日の郷あづま館Dake Peak。2024年春にオープンした施設でとてもきれい。日帰り入浴やサウナ、あし湯などが楽しめます。
とてもおしゃれで綺麗な館内。厳選されたお土産や日本酒、パンなどが土産物屋で売られていました。
そして、マウントインの2軒横にある扇やさんへ。こちらは14時〜17時まで日帰り入浴を受け付けています。丁寧な接客と綺麗に整えられた館内にテンションが上がります!
チェックイン前の14時に訪問。日帰り入浴客は一通り入浴を終えている一方で、宿泊客はまだ来る前のこの時間。予想通り、独泉できました!とても素敵な湯船ですね。規模は大きくありませんが、静かにゆっくりと温泉を楽しむことができました。
露天風呂も良い雰囲気でした!岳温泉は同じ引湯を使っているため、お湯の個性はどの宿も同じように感じます。ですので、温泉の雰囲気や眺め、値段などでお気に入りを見つけることになるのかなと思います。一人泊2食付で2万円前後とややハイクラスな宿になりますが、個人的には宿泊もしてみたいと思いました。
そしてふたたび戻って来てしまったマウントイン。予約した乗合タクシーが来るまでCafe利用しました。一人旅の身には、FreeWifiが何よりもありがたい…。帰りの乗合タクシーも乗客は他になし。お話上手な運転手さんで、福島の観光地やタクシー業界の話を聞いている間に空港へ。これもまた、楽しいひと時でした。

ミルキーデイ
「湯花流し」という湯桶に付着した湯花を流し落とす日。温泉成分たっぷりの湯花で源泉が牛乳のように白濁するそう。夏は週に1回、冬は2週間に1回程度。岳温泉観光協会の公式SNSでお知らせが出るそうです。

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