
湯治文化の残る肘折温泉と美肌の羽根沢温泉。異なる温泉を求めて山形の最上地方を旅しました。
初日に訪れたのは肘折温泉。温泉ファンに根強い人気を誇る温泉地です。
4月中旬なのにいたるところに雪を残す豪雪地帯で、この山奥の小さな集落には春が訪れたばかり。
ようやく訪れた春の息吹と村全体で守っている古き良き湯治文化が心に残りました。
本ブログは、山形旅行前半の記録。
後半の記録:[山形、羽根沢温泉] 美食と温もりに包まれる松葉荘の休日
- 日:2026/4/11(土) - 4/12(日)
- 旅程
- 4/11:大阪(伊丹)空港 - 山形空港 - 新庄散策 - 肘折温泉 大友屋旅館
- 4/12:肘折温泉 大友屋旅館 - 新庄散策 - 羽根沢温泉 松葉荘
- 4/13:羽根沢温泉 松葉荘 - 山形散策 - 山形空港 - 大阪(伊丹)空港
目次
肘折温泉 古きよき湯治場の春の訪れ
湯の鮮度が高く、今も湯治文化の残る肘折温泉。温泉愛好家にも非常に人気のある温泉地です。
4月中旬でもいたるところで雪が残り、街の中心を流れる銅山川は雪解け水の濁流音が響いていました。
豪雪地帯にようやく訪れた春。
小さな集落には昔ながらの旅館や民宿、土産屋が軒を並べ、村全体で古きよき湯治場を守っていることが印象に残りました。
- アクセス
- [バス] 山形空港 - 山形駅 約40分 1,500円
- [電車] 山形 - 新庄 約1時間20分 1,230円
- [バス] 新庄 -肘折温泉 約55分 600円 湯の里 肘折温泉
東京からのアクセス
新幹線で新庄まで来て、村営バスで肘折温泉に向かうのが一般的かと思います。
[新幹線] 東京 - 新庄 約3時間半 13,330円
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山形空港から空港シャトルバスにのって山形駅に。
山形駅からは奥羽本線に乗って、新庄まで行き、そこから村営バスで肘折温泉に行く計画です。
山形空港から予約制乗合タクシー(※肘折の場合、利用の2日前までに事前予約必要)で約90分で行く方法もありますが、一名利用の場合7,000円最上地方の拠点となる新庄がどんな街なのかもきになるため、今回は電車とバスを乗り継いで行くことにしました。

空港シャトルバスを降りると奥羽本線がちょうど出る時間だったため、すぐに電車に乗り込みました。
本数が少ないためそこそこ混んでいましたが、天童で降りる方が大半。銀山温泉の拠点となる大石田で降りる海外の乗客もいました。

終点の新庄に到着。山形新幹線の終着駅であり、最上地域の交通の中心となるターミナル駅。瀬見温泉や肘折温泉、羽根沢温泉の拠点にもなっていますが、こじんまりとした街です。
肘折温泉行の村営バスはここから出ていますが、これまた本数が少ない…。土日祝は、11:15から約2時間~2時間半間隔で4本のバスのみ。(平日の場合は一日に7本)
お昼前に新庄駅に着いたので、とりもつラーメンを食べ、バスを待ちました。

最寄りの新庄駅から村営バスに約1時間ほど揺られて行く肘折温泉。
なかなかに遠い。。
「肘折カルデラ」と呼ばれる火山性の窪地の中に位置し、月山の麓にある山間の温泉地です。
規模は小さいながら、肘折温泉・黄金温泉・石抱温泉(野湯)があります。
積雪が3mを超える全国屈指の豪雪地帯で、4月中旬は春が始まったばかり。


開湯は807年(平安時代)と伝わる非常に古い温泉。
湯治文化が今も残る温泉地で、自炊部のある旅館も多いです。
両側に旅館や民宿が立ち並ぶ温泉街中心をマイクロバスがゆっくりと走り抜けます。

新しい建物がない、まさに鄙びた温泉地。
アクセスが不便な小さな集落のため、「村の人たちで協力して、古いものを大切に使う。」そんな文化が残っているのかもしれません。

肘折に湯治文化が根付いたのは、
・山深い隔絶された地形が、長期滞在の湯治に適している
・療養泉としての泉質と豊富な湧出量がある
・出羽三山信仰の参詣口として栄え、宿坊文化が湯治と融合した
そういった背景があるようです。

そんな場所なので、熟年夫婦やひとり旅の方など、静かに温泉を楽しんだり、湯治をする方が多いように感じました。


街を歩いて驚いたのが、ごおごおという、肘折温泉街の中心を貫く銅山川の音。
4月になると日照時間が増え、気温が上昇。そして、月山の広大な雪田が一気に融けてすり鉢地形の肘折カルデラに集中するため、川の勢いが増すようです。
まさに、雪国に春がやってきた瞬間。

この銅山川は最上川の支流の中でも、雪解けの水量変化が最も大きい川のひとつ。
雪解け水が栄養塩や微細な土砂を運び、湿地・河川敷の植物が一斉に芽吹く。春の増水は、自然にとっての肥料の運搬でもあるのですね。

そんな初春の肘折は風が強く、まだまだ寒い。早朝は、薄手のダウンの下にフリースを着て散策しました。
名物の朝市は4/20から。地元で捕れた山菜を朝市でぜひ買ってみたいものです。

ゆったりとした時間が流れる肘折は、連泊してのんびり過ごしたいですね。
行ってみたい観光地
地蔵倉:凝灰岩の断崖の岩陰に六地蔵の石仏が安置され、近くには木造の本殿がある。縁結びや子宝祈願、商売繁盛のパワースポットとして多くの方が訪れるそう。
温泉街から徒歩約30~40分ほど。
大友屋旅館 素朴で上質、肘折のやさしい宿
いつか訪れたいと思っていた肘折ですが、どこに宿泊するかとなるとなかなかに迷います。
湧出量の豊富な肘折は、ほぼすべての宿が源泉かけ流し。いろいろな方の肘折の旅記録を見ても、突出して人気の宿はなく、どのお宿でも温かい接客と良質な温泉に感動されています。
若松屋村井六助旅館、旅館勇蔵、木村屋旅館、大友屋旅館…などブックマークを付けていたお宿の中から、予約のとれた大友屋旅館に行くことにしました。
大友屋旅館は、清掃が行き届いており、ゆっくり寛げるようにと細やかな気遣いを感じるお宿。自家源泉の温泉は笹色で柔らかくお肌がしっとりし、感じのよいスタッフさんに、味付けのよい食事、良心的なお値段。とても快適に過ごすことができました!
- 大友屋旅館
- 素泊まり:8,360円〜、2食つき:10,450円〜 (税込、一人泊の場合)。土日でも一人泊可
- 利用したプラン:2食つきプチ湯治プラン
- 温泉:ナトリウム-塩化物炭酸水温泉、大浴場は24時間入浴可 貸切温泉6時~22時
- 食事:夕食18時~、朝食7時半、部屋食または食事処(※)
※プチ湯治プランの場合、部屋食。通常プランは部屋食または食事処。人数や混雑状況次第。 - その他
- チェックイン15:00 チェックアウト11:00
- 自炊設備あり
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本日お世話になる大友屋旅館。民宿や一軒宿のような小規模な宿が大きい肘折の中では規模の大きな宿です。

フロントでチェックインし、部屋へ案内いただきます。肘折では数少ないエレベーター完備の宿。
建物は古いですが、清掃が行き届いています。
(翌朝6時頃に散歩に行く際に、すでにスタッフの方が玄関を掃除されているのにはびっくりしました。)

居心地よく設えられたお部屋(テレビ、冷蔵庫、FreeWifiあり)。洗面所は室内にありますが、トイレは共同です。
自販機がない代わりに、冷蔵庫にはビールやミネラルウォーター、チューハイが入っていました。(有料)
お布団は自分で敷くスタイルです。

テーブルには、温泉まんじゅうやお手拭き、テレビ欄の切り抜きなどが置いてあります。どこの温泉宿もサービスを簡素化していくなか、うれしい心遣い。
カネヤマ商店で買ったビールとブラックペッパーえのきのスナックで一息つきます。
ちなみに、このおつまみえのきはお勧め!こめ油でフライされたえのきは軽く、ブラックペッパーがアクセントになってうまい!ビールが進みます。


そして、お楽しみの温泉!!
ナトリウム‐塩化物・炭酸水素塩泉の源泉かけ流しの温泉は、やわらく、お肌がすべすべになります。
肘折温泉のほぼすべての宿が源泉かけ流しの温泉を提供しています。湧出量が豊富なことに加え、温泉組合が集中管理して各宿に提供する仕組みがあるおかげ。
そんな肘折のなかで、大友屋旅館は自家源泉を含む複数の源泉を使用し、鮮度の高い湯を安定して供給しているのが魅力。
とりわけ、貸切温泉は2名ほどが入力できる総ひのき造りの湯舟に、源泉がかけ流されています。鮮度が高いのは言わずもがな。
木の香りが満ちる貸切檜風呂を独泉する贅沢...。
夜は22時まで。朝は6時から利用できます。

個人的には、窓をあけて冷たい風を感じながら温かい湯に浸かることもできる貸切温泉がおすすめですが、やはり人気。。。
1階には大浴場があり、24時間利用可能。男女入替制で両方楽しめます。

大友屋旅館から歩いて数分の場所にある上の湯共同浴場。フロントに言えば割引券をいただけ、宿泊者は100円で入浴することができます。
大友屋旅館が自家源泉なのに対して、上の湯は複数の共同源泉の混合泉。
源泉そのものは異なりますが、泉質は同じで湯感もよく似ている印象。やわらかい湯でよく温まります。

今回は時間がなくて行けなかったカルデラ温泉館。温泉街から徒歩10~15分の場所にあります。
肘折らしいナトリウム‐塩化物・炭酸水素塩泉の熱湯と、単純二酸化炭素冷鉱泉(天然炭酸泉)の冷たい湯の2種類が楽しめるのが魅力。
宿泊者は50円割引券をいただくことができます。

夕食は部屋食。
スタッフの方がお膳ごと運んでくださいます。「食べ終わったら、廊下に出しておいてくださいね。」というスタイル。
湯治系の素朴な食事で、なますやうど、わらび、蕗味噌が載ったあゆ、豚肉の陶板焼き、たきもの、ごはん。
山菜、きのこ、地場野菜、川魚など季節の恵みを活かした田舎料理が楽しめます。

素朴な食事ながら、味付けはちょうどよく、おいしい。


朝ごはんはご覧の通り。健康的なメニューで、よい朝がスタートできそうです!

肘折滞在の中でいちばん印象に残ったのが、新庄行の村営バスで帰路についたときのこと。
各お宿からスタッフの皆さんが出てきて、お辞儀をしたり、手を振って挨拶してくださいます。街全体で送迎の挨拶をするなんて、肘折以外にありません。
小さな集落全体で温泉街を守っているんですね。
そんな肘折なので、どこも良心的でいい宿ばかりだと思います。
色々な方の旅の記録を見ても、万遍なくどのお宿も人気。宿の方との相性やお財布事情、予約の空き状況で宿泊先を決めるとよいのかもしれません。
忙しい日に疲れたときに訪れたい。そんなほっと心を落ち着ける温泉地でした。
新庄 厚い雲の下に息づく雪国の暮らし
瀬見温泉や肘折温泉、羽根沢温泉の拠点となる新庄。バスや電車を待つ合間に、街の魅力を探しに散策しました。
これ!といった観光スポットはありませんが、ゆめりあ内のもがみ物産館や鉄道ギャラリー、ご当地名物のとりもつラーメンや鴨料理が個人的にはよかったです。

最上地方の拠点である新庄。瀬見温泉や肘折温泉、羽根沢温泉の拠点にもなります。
こじんまりとした駅には、複合施設の「ゆめりあ」が隣接。土産物屋やフリースペースがあるので、待ち時間の利用にちょうどよい。

ゆめりあ1階にある「もがみ物産館」は、地元ならではのお土産があり、ぜひ立ち寄りたい。
個人的にはおつまみえのき ブラックペッパー味がおすすめ!酒川村産のえのき茸を米油で揚げて、胡椒をきかせたスナック。サクサクとした食感の中に茸の風味とピリッとした胡椒の辛さがビールに合います。
生の納豆が入っている納豆汁セットやや地酒も気になりました。

こちらはゆめりあ内のフリースペース。駅の周辺にFreeWifiのカフェがないので、ここで作業をしました。

個人的にたのしかったのが「ゆめりあ鉄道ギャラリー」にある「もがみのジオラマ」。
県立新庄神室産業高校の生徒さんが制作したそうで、最上8市町村をテーマにしたジオラマ作品が並んでいます。
これから訪れる大蔵村や酒川村がどんなところなのかな?とワクワク。酒川村はたくさんの森と大きなトトロ(小杉の大杉)、酒川歌舞伎ときのこ工場があるだけのシンプルなつくり。「あ、ほんとうに何もないんだ。」と悟りました(笑)。

今村翔吾の『羽州ぼろ鳶組』で題材となった新庄藩の火消し。
大名火消 に任じられ、江戸城の防火を担当していた新庄藩は、勇猛果敢で、庶民からも愛された存在として語られています。
新庄まつりの山車で現代にも継がれている大名火消。新庄駅構内でも取り上げられていました。

漫画家の街でもある新庄。
「幽☆遊☆白書」や「Hunter×Hunter」を書いた漫画家の冨樫義博や「3月のライオン」「ハチミツとクローバー」羽海野チカなどの出身地。
漫画家の巡礼ができるように、もがみ情報案内センターやこらっせ新庄、万場町商店街など様々な場所で原画やイラスト、色紙が飾られています。

短い滞在時間の中で楽しむといえば、まずは地元名物を食べることでしょう。
新庄名物の一つが、とりもつラーメン。ハツ・砂肝・レバー・キンカンなど鶏の赤モツを煮込んだ具を、鶏ガラ醤油スープのラーメンにのせた一杯。
最上地方では昔から鶏を飼う農家が多く、祝い事の際に鶏一羽を潰してモツ煮込みにする習慣があったそう。
新庄市内の居酒屋で、常連客がラーメンと鶏モツ煮込みを同時に注文して、混ぜて食べたのが始まりとされています。
駅から徒歩20分ほどの場所にある「末広」に向かいます。
住宅街の中にポツんとある飾り気のない昔ながらのお店。扉を開けると、ラーメンをすする男性客がポツポツいらっしゃいました。

「中華そば」「メンマラーメン」「チャーシューメン」「スタミナラーメン」の4種類のみのメニュー。
とりもつラーメンは、「スタミナラーメン」という名前で提供されています。
常連客は「メンマラーメンで、ネギとメンマを大盛で」とアレンジして注文されます。
鶏ガラのあっさりとした醤油スープと中華麺がおいしい。個人的にはモツよりネギ大盛の中華そばが好みだったかしら…。
行列はないものの、ひっきりなしにお客さんが訪れるお店でした。

翌日に訪れたのが、新庄駅横にある蕎麦屋かもん。鴨料理と蕎麦をいただくことができます。
近年は最上鴨という高品質ブランドが誕生し、新庄市と大蔵村を中心に鴨料理の産地として注目されています。
お昼は「鴨団子汁そば」「ざるそば」「鴨の卵かけごはん」の3メニューのみで、お店おすすめの鴨団子汁そばを注文。
つけ汁の中に、鴨肉を3枚いれて、しゃぶしゃぶしていただきます。
レアでもよい鴨肉は、柔らかくておいしい。そばも風味があり、ゆず七味がアクセントに。
スタッフの方がとても感じのよいお店でした。

新庄駅から約20分ほどの新庄城址公園に散策したり、商店街の集まる万場町に行ったりしましたが、営業しているお店がすくなくやや活気のない印象。


奥羽山脈と出羽山地に挟まれた新庄は特別豪雪地帯。
厚く垂れこめる灰色の雲、簡素な造りの昔からの家々…など、何があるわけではないけれど、長く厳しい冬を想像させる街でした。
旅したルート

山形県最上地方を旅してきました。山形県北東部に広がる山間地域で日本有数の豪雪地帯です。
雪解け水が豊富で、山菜・川魚が育つ環境のため、山の幸・川の幸・保存食の食文化があります。
また、肘折温泉・瀬見温泉など「湯治文化」が色濃い地域ですね。