10月 山と温泉 東北

[西吾妻山、白布温泉] 黄金色の湿原を静かな山で楽しむ贅沢

山形・福島の県境である吾妻連峰の最高峰、西吾妻山。山頂よりも周辺に見どころが多く、稜線上に点在する湿原は初夏から盛夏にかけてキンコウカやワタスゲなどの植物のお花畑に。周辺には白布温泉や小野川温泉、新高湯温泉などの名湯があり、登山と温泉が楽しめる山です。
全国的に晴れで、東北の山々は紅葉が見頃。栗駒山や月山など人気の山は全国から登山者が殺到して大混雑。そんな時に穴場なのが西吾妻山。駐車場や道路が渋滞することもなく、静かな登山道でゆっくり黄金色の湿原を楽しむことができました!

  • 日:2024/10/11(金) - 10/12(土)
  • 旅程:
    • 10/11:大阪(伊丹)空港 - 仙台空港 - 米沢 - 白布温泉
    • 10/12:白布温泉 - 西吾妻山登山 - 米沢 - 仙台空港 - 大阪(伊丹)空港
      ※新幹線で東京〜米沢または大阪〜米沢を移動するのも一案。

白布温泉 西屋

米沢牛、米沢ラーメン…と美味しいものが多い街 米沢。駅周辺には肉料理屋や肉屋が多くあり、米沢牛の人気の高さが伺えます。少し歩けば上杉謙信を祀った上杉神社もあり、駅周辺の散策も楽しそう。今回宿泊した白布温泉 西屋は湯滝が素晴らしい宿。江戸中期に造られた浴室で、ドドドとすごい勢いで湯が落ちる様は圧巻でした。

  • 白布温泉 西屋
    • 素泊まり:9,900円〜、2食つき:13,200円〜 (税込、一人泊の場合)。土日でも一人泊可
    • 温泉:カルシウム-硫酸塩泉泉質、内湯(男湯、女湯、貸切風呂)、24時間利用可 ※貸切風呂は空いていればいつでも利用可
    • 食事:夕食18:00~、朝夕共に食堂食
    • その他 自販機なし。ビールなどはフロントで購入可
  • アクセス
    • [電車] 仙台空港 - 仙台 約30分 660円
    • [バス] 仙台駅東口 - 米沢駅東口 約2時間 2,200円
    • [バス] 米沢駅前 - 白布温泉 約50分 950円
    • 東京から米沢までは、東北新幹線で約2時間15分 10,530円

新幹線の利用
東京から米沢まで東北新幹線一本で行けるので、本数が多い新幹線の方がトータル良かったと思います。
[新幹線] 東京 - 米沢 2時間10分 10,530円
[新幹線] 東京 - 大阪 約5時間 21,540円

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東京から米沢までは新幹線一本で行けますが、関西からだとなかなかに遠い。今回は仙台駅から米沢までは高速バスで移動。仙台駅東口出てすぐにある72番バス停。すぐ近くにあるJR高速バスきっぷうりばで切符を買います。東北最大の街、仙台。さすがに街が大きいです。連休などで渋滞しそうな場合は、仙台~米沢は電車移動が確実かもしれません。
平日のこの日。乗客は店員の5分の1に満たないほど。割と空いていました。
米沢駅に到着です。駅ビルには、小さいながらも土産物屋が2店舗にコワーキングスペースがありました。周辺には米沢牛を扱った店が集まっています。米沢の味といえば「ABC」。米沢牛(Beef)の他に、舘山りんご(Apple)、鯉(Carp)も有名なようですよ。
さて、ランチに何を食べようか。肉より魚派なため、昼から焼肉のようなこってりしたものはあまり魅力を感じません。駅から徒歩数分にある松月へ。牛肉ラーメンをいただきました。あっさりとした牛骨&醤油ベースに米沢牛、貝割れ、かまぼこ、山菜が乗っていて、おいしかったです。
白布温泉行きのバスは、米沢駅西口前から出ています。小野川温泉を経由して白布温泉に行くので、温泉好きの方は途中下車するのも一つですね。小野川温泉は小野小町が約1,200年前に開湯した伝説があり、メタ系酸を多く含む美肌の湯。鄙びた風情の小さな温泉街でした。
白布温泉に到着です。宿数件と蕎麦屋、酒屋があるだけの小さな集落。とても静かです。周りにコンビニなどないため、翌日登山する場合は事前に行動食を準備しておいた方が良いです。築200年もある茅葺屋根の西屋。かつては上杉米沢藩主の常宿だったそう。
夕食付き(米沢牛しゃぶしゃぶ)のプランで利用です。一人用のこじんまりとしたお部屋。ベッドやテーブル、机があり、寛げます。日中は半袖でも過ごせますが、夕方〜明け方は冷えます。もうストーブも出ていました。
こんな素敵なくつろぎスペースもあります。
そして、お楽しみの温泉です!西屋の名物はこの湯滝。江戸中期に御影石で造られた浴室をそのまま維持していて、打たせ湯がドドドとすごい勢いで出ています。こじんまりとした浴槽からは滔々と湯が溢れ、洗い場で石鹸を流しても浴槽に泡は流れない仕組み。この湯滝は唯一無二の温泉ですね。朝の肌寒い時間に入った時が一番心地よく、体がじわ〜っと温まり、スッキリ目が冷めました。
貸切温泉が2階にあり、空いていればいつでも利用できます。湯滝が動の温泉なら、こちらは静。ちょろちょろと温泉が流れ、ゆったりと入浴できました。
夕食。米沢牛しゃぶしゃぶ鍋、前菜、冷や汁がテーブルに用意されていました。それ以外はセルフ式。フリードリンク、地酒、ワイン、ご飯、お吸い物、おばんざい各種、デザートをセルフコーナーから各自取っていきます。
食事処でいただきます。家族連れ、ご夫婦、一人泊の方数名といった客層でした。
翌朝は西吾妻山に向けて、7時過ぎに宿を出発。米沢駅のNew Daysで買ったおにぎりをいただきました。甘辛く味付けした米沢牛の握りとねっとりとした里芋が美味しい芋煮の握り。680円とお値段はしますが、美味しいおにぎりでした!

気になる米沢のお店
ラーメン:そばの店 ひらま、支那そば 熊文、桂町 さっぽろ
肉料理:なみかた羊肉店 めえちゃん食堂、ミートピア、焼肉 みよし、米沢牛亭 ぐっど

西吾妻山

百名山の中では地味でやや人気に欠ける西吾妻山。わたし自身も温泉がメインで、山にはそれほど期待していませんでした。ところがどっこい。湿原やちょっとした岩登り、吾妻の峰々の一望…とコースに変化あり、見どころあり!人も多くないので静かな山歩きが楽しめます。素晴らしい山でした。もっとしっかり歩く計画にしておけば良かった…。大凹の水場を超えると、急登や岩が出てくるので、軽めのハイキングを楽しみたい方は大凹の湿原までがちょうど良いかもしれません。

  • コース:北望台 - かもしか展望台 - 梵天岩 - 天狗岩 - 西吾妻山山頂 - 西吾妻小屋 - 天狗岩 - 梵天岩 - かもしか展望台 - 北展望台
  • 標準コースタイム:約3時間
  • 難易度:低
    • ぬかるみが多く、滑りやすい石も多数。ストックがある方がベター。
    • ロープウェイ6分、3本のリフトは約40分。乗り継ぎの時間も考えると片道計1時間ほどかかる。
  • アクセス
    • 往路
      • 白布温泉からロープウェイ乗り場の湯元駅まで徒歩約20分
      • 米沢駅前 - 湯元駅前までのバス始発は7:38。湯元駅到着が8:29
    • 復路
      • [バス] 湯元駅前 - 米沢駅前 50分 970円
      • [バス] 米沢駅東口 - 仙台駅東口 1時間50分 2,200円
      • [電車] 仙台 - 仙台空港 約30分 660円
      • 昼〜夕方は渋滞することもあるので、バスの長時間移動は避けた方がベター。米沢から新幹線で東京〜大阪と移動する方が良かったです。
  • ロープウェイ&リフト:天元台高原HP 湯元駅 - 北展望台 約1時間 往復4,500円

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西屋からロープウェイ乗り場までは徒歩20分ほど。晴天が見込める上に、この三連休で夏山のロープウェイ運行はラスト。登山客でさぞかし混むだろうと7時過ぎに宿を出ましたが、ガラン、、係の人と数名の登山客がいるのみでした。。。徐々に増えはするものの、ちょっと人が多いな…程度の混雑具合。さて、この湯元駅はトイレ、更衣室、自販機、チケット売り場があるだけ。売店などはないので行動食は事前の準備が必要です。この日は土日のため、8時からの運行。7:30からチケットの販売が始まりました。
ロープウェイでアルブ天元台へ。ペンション村やキャンプフィールド、アクティビティ施設があります。登山をせず、ここで観光する方もいます。冬はスキー場になるのでしょうか。よく整備されています。ロープウェイを降りてすぐの場所にあるロッカー500円に不要な荷物を預けて、リフトへと向かいます。
ここから3本のリフトを乗り継いで登山口へ。1本目のしらかばリフトでは、青々とした芝生を眼下に見ながら、ゆっくり上がります。
展望が素晴らしい!朝日岳や月山、鳥海山が見えます。こんなクリアに見渡せる日はそうないです。絶好の登山日和!興奮して写真を撮っていると、「この上の方がもっと景色よくなるよ〜」と係員さん笑。
リフトから見渡す景色も素晴らしい。ススキが朝日を浴びてキラキラ輝いています。
高度が上がるにつれて、植生が変わったり、紅葉の色づきが変わるのも見どころ。森林もよく整備されており、「チングルマ」「コメツガ」と植物の案内板が出ているのがリフトからも見えました。
リフトに乗っているだけで、もう楽しい!そして、早朝の山はうつくしいですね。。晴天でそれほど寒くはないですが、40分ほリフトに乗っているだけなので、防寒対策はした方がいいです。この日はフリースの上にレインウエアを羽織るだけで十分。天候によっては、手袋や毛糸の帽子があった方が良いかもしれません。
リフトを降りるとすぐに登山道。ほどなくして、「人形石」方面と「カモシカ展望台」方面への分岐点が出てきます。今回時間がなく、人形石には立ち寄れなかったのですが、多少道が悪くなるよう。まずは「カモシカ展望台
」方面へ。
道はよく整備されていて明瞭。初めはやや急登が続きます。
秋の朝日を浴びた道は本当にきれい。空気も凛としていい気分!とはいえ、滑りやすい石も多いので要注意。ストックがある方が安心ですね。急登はそれほど長く続きません。
急登を我慢して登ると急に展望がひらけてきました!カモシカ展望台を過ぎた辺りです。うつくしい青空とたおやかに広がる稜線!
ほどなくして、木道が始まりました。ここから大凹の池塘〜水場までは気持ちいい道が続きます。
天国のような道。写真を撮ってばかりで、なかなか歩みが進みません。こんな絶好の登山日和で紅葉も見頃な中、混雑せずにゆっくり山を楽しめるなんて…。最高です。
美しい…。この大凹には池塘が点在し、夏にはワタスゲなどの高山植物が咲くお花畑です。天候の良いこの日はその先に続く梵天岩もよく見えました。
毎回、天候には悩まされる東北。ようやく快晴の中、登山ができてうれしい!
大凹の水場。水はキンキンに冷えています。この水場から登山道の雰囲気が変わり、若干険しくなっていきます。
水が溜まった道。雨の後は水量が増えて、歩きにくいかもしれません。
その先はゴロゴロ道。急勾配で大きめの岩が続きます。濡れて、滑りやすい岩もたくさん。下山時は要注意です。
急勾配の道を進むと、また気持ちいい稜線歩き!
周りの景色に見惚れて、なかなか歩みが進まない…。
東吾妻の山々がよく見えます。
道の先に見える岩々が、梵天岩。
この展望のよい梵天岩で休憩をとる方が多いです。ちょっとした岩歩きも楽しい。
この梵天岩からほどなくして天狗岩に到着。石畳の先に吾妻神社があります。ここから西吾妻山頂に行くコースと神社横の道から西吾妻小屋を通って山頂に向かう道があります。
まずは、神社にお参り。元来た道を引き返して、山頂→山荘→神社と回ることにしました。
というのも、この天狗岩道標からの山頂がとても美しかったので、このルートにしたのですが…。結果は失敗。ぐちょぐちょコースでぬかるみに足がつかります。雨の後は避けた方が良さそうです。
展望、なし。ぬかるみ、たくさん。
そして山頂です。グリーンシーズンは展望のない西吾妻山。山頂スペースもないので、記念撮影をして、そそくさと下山します。
避難小屋の西吾妻小屋が見えました。赤いドーム型の屋根が東北らしいですね。こんな登山日和は、磐梯山や猪苗代湖などが見える西大巓(にしだいてん)までここから足を延ばしたり、下山時に人形石方面を回るのも楽しそう。今回は時間がなく、西吾妻山とのピストンだけになってしまって、残念。。。
新幹線で米沢〜東京で2時間強、米沢〜新大阪が5時間弱。本数もあるので、登山を楽しむのならバス+新幹線が良いかもしれません。早割のフライトを取っているので、飛行機の方が安いのですが、今回は失敗。リフトに時間がかかるので、超特急で下山して空港へ。小野川温泉に立ち寄ったり、仙台の美味しいもの巡りをする時間なし。バタバタでした…。
搭乗手続後、だし廊で貝出汁ラーメンを。ようやく一息つくことができました。

もう一つの旅プラン
下山後にもう一泊して温泉を満喫し、米沢の美味しいところ巡りをするのもいいですね。
白布温泉:中屋別館不動閣
新高湯温泉:吾妻屋旅館
小野川温泉:うめや旅館、高砂屋、二階堂旅館
※いずれの宿も一人泊可

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